失われた物語 −時の鍵− 《前編》【小説】




「ええええ~っ?!」

あとの3人(僕も含め)の衝撃の声…

「神様じゃないのぉ?」

あの日怖がってパニクった先輩が

奈落に落ちるような低音を出した

「マジ…か…」

ヤツが道の真ん中でしゃがみこむ

「おい!お前らっ!どーした?!」

顧問が一番狼狽えている

「あ…あの~説明します先生」

正直僕もかなりな脱力感に

打ちのめされていた

僕はあの日の玉久司島の奥の院での

一件をかいつまんで顧問に話した

「マジか…」

顧問が青くなる

「先に…言ってくれ~」

確かに

先生を責める筋合いではない

ない…が…!

「…うん…分かった…俺のおごりで

ファミレスで好きなもんいくらでも

食え!…それから少し話そう…な」

すると今まで黙っていた後輩が

クルッと顧問に向き直り

真剣な顔でにらみつけた

「先生…ワタシ今日だけダイエット

忘れさせて頂きマス!」




僕は初めてこの前向きな後輩が

遠い目をしているのを目撃した

僕らは物も言わずノロノロと

顧問の後ろから歩き始めた








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