失われた物語 −時の鍵− 《前編》【小説】
ホサナ ホサナ
天から声が聴こえる
光の梯子
どこからか光の柱が
まっすぐ兄を照らし降りてる
ハレルヤ
ハレルヤ
僕だけにははっきりと見える
はっきりと聴こえる
天に僕の祈りが届いたのだ
あれは幻?
いいや幻なんかじゃない
兄がいる
兄が微笑んでいる
空虚な笑いでなく
幸せそうに笑みを浮かべて
そこに立っている
僕はこの信じられない光景に
思わず呟いた
「神様…いたんだ」
僕は放心したようにギターを脱ぎ
そのまま舞台を降りた
僕はいつの間にか
兄の前に立っていた