桜空2
「……城下町にて…女性と歩いているのを目撃した者がいるとのことです」
「……え…?」
空が…女と……?
「それは…間違いではないのね?」
「……恐れながら…恐らく。」
嘘……
空が……?
あたしは思わず口元を両手で押さえた。
「しかしながら…っ!!」
慎がいきなり声を張り上げた。
「……慎?」
「しかしながら…水野様はとてもご立派なお方で在られます。婚約者がおられる身でその様なふしだらな行為をされる様な方ではありません!!きっと…きっと何かやむを得ない事情があるに違いありません。」
「……慎…」
「姫様……どうか水野様を信じてあげて下さい。私は姫様と水野様の幸せだけを心から祈っております。」
慎は丁寧にお辞儀をして、私の前を去った。