桜空2
空は優しい笑顔を私に見せた。
そして私を石段まで連れていき、一緒に座り込んだ。
「桜、これからちゃんと説明するから。聞いて?」
「…えぇ……」
そして空は話し出した。
「…城下町で一緒に歩いてたのは、加賀時代の元恋人なんだ。」
「元…恋人……?」
空はゆっくり頷いた。
でも…なんで元恋人が……?
「この間、加賀から江戸に来てたみたいで城まで訪ねて来たんだ。……まぁ別に今では友達みたいなもんだったし、話くらい聞いてやろうと思って城下町の酒場に一緒に飲みに行ってたんだ。」
「……それで…?」
「……やり直そうって言われたんだ」
「え……?」
「まだ俺のことが忘れられないらしい。……でも今の俺には桜しかいないから。アイツには断ったんだ。…でも……」
「でも……?」
私は言葉を繋げた。
空の元恋人……
どうして今更…