桜空2

私はただただ、呆然としていた。


空の元恋人・佳代さん……
そして今でも、空を思い続けていること。



空を…譲って欲しいということ……



私は悔しさに見舞われながらも手紙の返事を書き始めた。



「 佳代様へ


お手紙ありがとうございました。お願いに対する返答をしたいと思います。


大変申し訳ありませんが、水野をお譲りすることは出来ません。
私の勝手だとは思いますが、私も水野を愛しております。
一生一緒に居たいのです。


水野にはこれから先も大変な思いをさせるかもしれません。
苦しませるかもしれません。


それでも私は彼と離れたくありません。
離れるつもりもありません。


ごめんなさい。


 桜より」




私は手紙を書き終えた。



これで彼女に伝わるだろうか。



私の空を愛する気持ちを佳代さんにも伝わって欲しい。



たとえ彼女と刺し違えることになるとしても……



私はそんな思いを込めて、手紙を使用人に渡した。



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