桜空2
――その頃、殿の間。
「……殿様、やはり姫様には本当のことをおっしゃったほうがよろしいのではないかと…」
殿の間には海が桜の父と話し合いを進めていた。
「分かっておる!!ただ…あいつに本当のことを話したとして、あいつがちゃんとこの真実を受け入れられるのか…もしかしたら受け入れるのは難しいかもしれん」
「……殿様。姫様はもう充分大人です。この事実を受け入れなくてはいけない時が来たのです殿様」
海は殿から目を逸らすことなく言った。
「……うむ。確かにそうだな…よし。話すことにしよう。桜に母親のことを――…」
――…「失礼致しました」
パタン……
あたしはまだ戸惑っていた。
桜にあの事実を受け入れることが出来るのか。
でも…
もう迷ってる暇はない。
桜はこの江戸の、久喜家の姫なんだから。
きっと桜ならこの事実を受け入れることが出来るって
あたしは信じたい。
いや、信じてる―――。