桜空2
――殿の間。
「姫様、お時間です。よろしいですか?」
慎が切れ長の鋭い瞳をこちらに向け、聞いてきた。
「えぇ、頼むわ。」
思わずその視線にドキッとしながらも私は返事をした。
「姫様、お成りでございます」
慎は中にいる父や大名達に聞こえる声で言った。
慎と市之助が片方ずつ、扉を開けた。
中には父を前に並ぶようにして大名達が並んでいた。
ザッ!!と大名達が私に頭を下げる
私は真ん中に出来た道をゆっくり歩き、父の前に着くと大名達に挨拶をした。
「お初にお目にかかります皆様方…私が江戸の殿・久喜雅一(くきまさかず)の娘であり、姫の次期将軍・久喜桜と申します。」
パチパチ……!!と拍手が起こる。
私は父の隣に座った。
「今日は集まってもらい、ご苦労だった。本日は私の娘…桜が初めての公ということだ。よろしく頼むぞ」
「はっ!!」
大名達が父の言葉に対して返事をした。
私は軽く大名達に頭を下げた。