桜空2
「――桜!!」
後ろから名前を呼ばれてハッとした。
「空……」
私は愛しい人の姿に顔が緩んだ。
あぁ…
なんか涙腺が弱くなってきたかもしれない……
――ポタッ
「……桜?」
気付くと床に自分の瞳から流れ出た涙が落ちていた。
空の優しい声に尚更、涙腺が弱くなっていく。
「……っ…ふ…」
私は声を抑えきれずに顔を手で覆って泣き出してしまった。
「さ、桜!?どうした!?なんかあったのか!?」
空は慌てて私の元へ寄ってくる。
「……ヒック…あの…ね…」
「ん?」
空は私の両肩に手を当ててゆっくりと頷く。
「私の…実の母……“菫'っていう人…なんだって…」
「……え?」
空は疑うような声を出した。