桜空2
――そしてあっという間に夜になった。
「姫様、お夕食をお持ちしました。」
外から市之助の声が聞こえた。
「あ…ありがとう。どうぞ」
私は力のない声で言った。
「失礼します。……ってどうしたんですか!?姫様……元気ないですよ?」
「えっ…そ、そうかな」
「そうですよ!!姫様にお元気がないことくらい一目で分かりますよ!!」
市之助は夕食を私の前に置いた。
「……ちょっと…海と喧嘩しちゃってね…」
「えっ、海様とですか!?あんなに仲良くされていたのに…」
「えぇ…私の…八つ当たりなの。今色々あってちょっと頭が混乱してて…何も悪くない海に当たってしまったの。」
「姫様……」
私は顔に手を当て、俯いた。
「……でも…海様ならきっと分かって下さると思いますよ。海様は広いお心持ちですし…姫様がきちんと海様に謝られればきっと許してくださいますよ」
「そう…かな…」
「はい。姫様と海様は城の者も羨むくらい仲の良いお2人でございます。絶交なんてされたら我々も悲しみますよ!!」
市之助は太陽の様な笑顔を向けた。
「そっか…じゃあ私頑張るわ!!ちゃんと海に話してくる」
「その調子ですよ!!姫様」
私は明日、成宮家まで行ってちゃんと海に話すことを決めた。
このままじゃ嫌だから。
またいつものように笑い合いたいから――…