桜空2

「…………」



海の部屋まで終始無言だった。
そして――



「―失礼致します海様。桜様と水野様がお越しです」



私はゴクリと息を飲んだ。



海は…返事してくれるのかな。



自分の都合が悪いからって八つ当たりする最低な姫になんかもう会いたくないって…思ってたりするのかな?



「――どうぞ、入って」



部屋の中から聞こえた海の声。
私は少しホッとした。



――ガラッ



使用人さんが部屋の扉を開けてくれた。



「……海…」



「桜……」



ちょっと顔が合わせづらかったけど私は我慢して海を見た。



「……入って。水野くんも」



「あ、はい。失礼致します」



私に続いて空も部屋に入る。



「――ごゆっくり」



使用人さんが部屋の扉を閉めた。


「……………」



お互いに何も話さないまま、時間だけが過ぎていく。



早く…
早く言いなさいよ、桜!!



あんたが黙ってちゃ海が困っちゃうでしょう!!



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