桜空2
勇気を振り絞って声を出そうとしたその時。
「とりあえず2人とも座って?落ち着かないでしょ」
そう言われ、自分が突っ立っていることに気が付いた。
緊張しすぎて気付かなかった…
「え、えぇ…ありがとう」
私は一言だけ返すとその場に座った。空も一緒に。
また沈黙が続く。
早く…早く話さなきゃ!!
何のためにここに来たのか分からなくなる。
「…海……ごめんなさい。」
私は俯き加減で呟いた。
「…………」
「…私……海の立場も考えずに無理矢理あの人のこと聞き出そうとしたりして…海は…何も悪いことしていないのに…」
ふと海を見ると海はただ、私を見つめていた。
真剣な瞳で。
「……桜だけが悪いんじゃないわ。いつまでも真実を隠し続けようとしている私も悪かったのよ……ほんとは…桜が一番知らなくちゃいけないことを私や使用人が知ってるなんて……おかしいもの」
海は言葉の最後に深いため息を吐いた。
「…ねぇ海……やっぱり…菫って人のことは…教えてはもらえないの?」
海は私から目を逸らすと、考え込むように黙り込んだ。
そして
「……私から…あなたに言ってもいいのか…分からない。……立場のこともあるけどやっぱりこうゆうことは…殿様から聞くのが一番いいと私は思う」
「こうゆうことって…?そんなに…大変なことなの?」
「……決して軽いことではないわ」
「……でも…父は教えてくれないの…きっと聞いたとしてもまた焦らされるだけだと思う」
私は膝に掛けた羽衣を握った。
「だったらあたしから殿様に言ってみようか?桜、言いにくいんじゃない?」
「…いいの?なんか悪いし…」
私は申し訳なさそうに聞いた。