桜空2
「皆の者、姫様と御対決したい者はおらぬか」
主将は稽古場に響き渡る声で言った。
みんな顔をチラチラして中々申し出る者がいない。
「じゃあ水野!!お前が相手をしろ!!」
ザワッ!!と剣士達がざわつく。
「えっ…僕がですか?」
空は前に出てきた。
「そうだ。そなたは姫様の婚約者であろう。一番お相手しやすいはずだ」
主将は満足そうに言う。
空が剣を持ち、準備しようとすると――
「――お待ち下さい」
回りを静まらせるような声が聞こえた。
「――慎(しん)!!」
慎……?
聞いたことがないな…
私は“慎'という名前の剣士を見た。