桜空2
「……海から話は聞いている。…お前が、菫のことを酷く知りたがっていると。だから私から話してやってはくれないかと…。」
「……はい…」
私はハッキリと返事をした。
ほんとのことだから。
その“菫'って人のこと教えて欲しい。
「……で、その菫っていう人はいったい誰なの?大名も意味の分からないこと言ってくるし…お父様まではぐらかすし。私そのことで混乱してて…」
父は納得したように頷いた。
「…桜の気持ちはよく分かった。いずれはお前に話さなくてはいけないことだったんだ。いいだろう、菫のことを教えよう」
「――…えぇ」
私はゴクリと唾を飲み込んだ。
「少し長くなるが…」
「かまわないわ。」
私は迷いなく言った。
「――…うむ。では話すとしよう」
父はゴホッと一回咳き込んだ。