桜空2
「あたし、はっきり言ってちょっと成宮家の跡取りだって自覚が薄くてね…最初の頃なんて剣術になんか見向きもしないような奴だったのよ。……でもそんな私に菫様は優しくお声を掛けて下さったのよ。…“あなたならきっと素晴らしい剣士になれるわ'って。」
海はとても嬉しそうな表情をしている。
そんなに…
私の母のことを尊敬しているのね
「そう…なんだ……」
「菫様は剣術がお強い方だったからね。桜みたいに」
「うん…それは父から聞いたわ」
海はニコッと微笑むと腰に手を当てた。
「とにかく桜は幸せ者よ!!あんな素敵なお母様の元に生まれて」
「――…幸せ…なのかな」
私はポツリと呟いた。
誰にも聞こえないような声で…
「――え?何か言った?」
海がキョトンとした表情で私を見た。
「あ、ううん。なんでもない!!」
私は咄嗟にごまかした。