桜空2
「――よく来てくださいました、桜さん。どうぞこちらへ」
蓮華様が中から声を掛けてきた。
「――ありがとうございます。では、失礼致します」
私はスッと中へ入る。
パタン、と私が中に入ったのを見計らった使用人が扉を閉めた。
「いや〜本当に遠い所よくいらっしゃいました。お父上はお元気ですか?」
「はい、相変わらずです。蓮華様こそお元気ですか?」
「あはは、私は元気ですよ!!ただ…1つだけ問題がありましてね」
蓮華様は難しい顔をした。
「……と言いますと?」
私は話を繋げた。
「――…私の息子…慎のことです」
やっぱり。
「……慎様は…まだお帰りにはなっていないのですか」
わざとらしいな、私。
全て知っていてこんなことを口走ってるんだもの。