桜空2

「あいつは…私を軽蔑しています。父親だとも思っていません。私が思うにたぶんもう、ここには戻っては来てくれないと思います」


そう言った蓮華様の表情は少し、寂しそうだった。



「……そう…ですか…」



私はそれ以上何か言うことは出来なかった。



慎が江戸城にいることがバレてもまずいし



なんだか気の毒だったから…



自分の実の息子に軽蔑され



自分の元までを去って行った慎を


この人は今更、取り戻したいとでも言うのだろうか。



自分は今まで散々、好き勝手をしていたのに?



慎に目を向けてあげたことなんてなかったのに?



そんなの……勝手すぎる。



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