桜空2
部屋から出ると、使用人が外にいた。
「お疲れ様でございます、姫様。門までお送り致します」
「ありがとう」
私は笑みを返すと使用人の後を歩いた。
またこの時も終始無言だった。
特に話すこともなかったしね。
門に着くと、江戸から来たかごが待っていた。
「お待ちしておりました、姫様。さ、どうぞお乗り下さい」
「ありがとう」
私はお礼を言うとかごに乗り込んだ。
「――今日はどうもありがとうございました」
私は外にいる大阪城の使用人にお礼を言った。
「いえ、こちらこそです。またぜひ、いらして下さい」
使用人はニッコリと微笑んだ。
私が頭を下げ、かごの中に体を戻すとかごは動き出した。
ふぅ…
なんか凄い1日だったわ。
蓮華はくだらない話をしてくるし…
そんなに慎が恋しいなら力ずくで取り戻すか何かすればいいのに。
あれじゃあ慎が江戸に逃げ込んできた理由が分かるわ……
私はそう思い、溜め息をついた。