桜空2
「――では、両者前へ」
稽古場でちゃんと殺陣をするのはすごく久しぶりな気がする。
私は久々の感覚に深呼吸をする。そして意識を集中させる。
「お願いします!!」
向い合わせでそう言い合うと剣を持ち、立ち上がる。
「――では、はじめっ!!」
素早く距離を取る。
そして―――
「はぁぁーっ!!」
「いやぁぁーっ!!」
カンカンカァン!!!!
激しく剣がぶつかり合う。
この子……
普通じゃない。
細いように見えるけど凄く鍛えた体してる……
毎日稽古を積まなければああいう体は作れないわ…
それに私がわざと隙を見せたってまったく動じてないし…
私は直感でそう感じた。
まさか空以外にこんな実力と体をしている男がいたなんて…
「――隙ありっ!!」
私がボーッとしているうちに慎が素早く向かって来た。
まずい!!!
カキィン!!!
危機一髪で慎の攻撃を交わした私
「……瀬川ヤバイな〜あの姫様の隙を全て見抜いてやがる!!」
「アイツは剣術に関しては手を抜くことは絶対にないからな」
剣士達の話し声が聞こえた。
そうなんだ……
やっぱり慎はそれほどの実力があるのね。
――でも私にだってプライドってモノがある。
そう簡単に手を引くわけにはいかないわ。
悪いわね慎。
「――はっ!!」
私はサッ!!としゃがみ込むと慎の腹に向けて剣を入れ込んだ。
―ドッ!!
「……素晴らしい」
主将が歓喜の声を上げた。