桜空2
幸せな時間
――…
「着きましたよ、姫様」
うとうとしていた私は外から聞こえる使用人の声で目が覚めた。
「ありがとう、ご苦労様」
私はかごから降りた。
江戸城に着いたのは夕方だった。
私は使用人がズラリと並ぶ廊下を通って自分の部屋に戻った。
――パタン…
「あ〜疲れた…」
私は力なく呟くと畳の上に寝転んだ。
次期将軍も大変だな…
色々と疲れるし…
父の時代が終わって私がこの江戸を背負う時が来たら…
いったいどうなっちゃうんだろう…
私は目に手の甲を当てた。
――あ。
私は大切なことを思いだし、立ち上がった。