桜空2
「勝者、姫様!!」
ワッ!!と歓声が上がる。
私はしゃがみ込み、息を荒くしている慎の元に座り込んだ。
「あなたすごいわ、慎。私あたなみたいな実力の持ち主に出会ったのは久しぶりよ」
慎は袴の袖で汗を拭いながら私に頭を下げた。
「そんな…もったいなきお言葉にございます」
慎は相変わらず丁寧な言い方でそう言った。
「姫様、お疲れさまでございます。瀬川のお相手をして頂き、誠にありがとうございました」
「いいのよ!!私が単に殺陣がしたかっただけよ♪あ、それと主将さん!!ちょっと」
私は主将さんをこっそり呼んだ。
「あの瀬川君って子、すごく強いわね!!空以来よ、あんなにピリピリきたのは」
「やはり姫様もそう感じられましたか…」
主将さんは得意気に言った。
「……と言うと?」
「私もそう感じていたのですよ。あの者の剣術は水野と並ぶほどのものかもしれませぬ」
主将さんは腕を組みながら言った。
やっぱりあの子はこのままにしておくのはもったいない。
あの時感じた迫力、素早さ。
鍛え抜かれた体。
私でさえもう少しで負けるところだった……。