桜空2

――その頃、空。



「……だからさ〜…無理だっつってんだろ。いいかげんにしてくれよ」



俺は苛立った声を目の前にいる女に向けた。



「でも…っ私、水野様のことが好きなんです!!どうしても忘れることが出来ないんです!!」



俺はあからさまに溜め息を吐いた


なんでこんなことになってるかって?



“大事なお話があるので2人だけで会って頂けませんか?'



今、目の前にいる食堂の使用人の女がついさっき俺に言ってきた言葉。



安易にそれを信用した俺も甘かった。



てっきり仕事か何かの話しかと思いきや…



こんな話かよ。



「…水野様……私、本気です!!姫様がいらっしゃることは分かっております!!でも…私と一緒になってはくれませんか?」



女は潤んだ瞳で俺を見つめる。



馬鹿か?こいつは…



俺が欲情すんのは桜だけだっつーの。



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