桜空2

「主将さん、あの子はもしかしてまだ見習いなの?」



「あぁ、はい。一応まだ入ったばかりなので…」



「じゃあさ、あの子見習いから剣士に昇格させてあげてくれない?」



「えっ?…と言いますと?」



「主将さんだってあの子を見習いにさせておくのはもったいないと思うでしょ?だから、ちょっと一足早く昇格試験受けさせてあげて!!」



「しかし……」



主将さんは少し難しい顔をした。


「ん?」



「瀬川は…はっきり言いますと、確かに剣士には向いております。私も姫様のご意見には賛成なんですが…」



「何か…問題が?」



私は不思議そうに聞いた。



「はい。瀬川はつい最近城の見習い剣士になったのですが…志願書の両親の欄に何も書かれていませんし…生い立ち、故郷など全て白紙なのです。ほとんど剣術だけで入ったと言っても良いくらい…」


主将さんは困ったように顔をしかめた。



「そうなの……何か謎な子ね…」



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