桜空2
佳代はクスッと笑った。
「……久喜桜さん…」
俺はその名前を聞いてピクッと反応した。
「なんでお前知って……」
「あら、普通に分かりますよ?あなたが江戸城の姫様と婚約してることくらい有名だもの」
……やっかいなことになったな…
桜が心配だ。
「……桜には何もするな。それだけは約束しろ」
佳代は再びニッと微笑んだ。
「そんなの約束出来ませんよ…だってあなたを手に入れるためならどんな手だって使うつもりよ?私は」
「…ふざけんなよ……」
俺は低い声を出した。
何なんだよ…
さっきとは全然雰囲気が違うじゃねーか…
「――見ていて下さいよ。私をフったことを後悔させてあげますから」
佳代は意味深な言葉を残して酒場を後にした。