桜空2
「……戻るか」
俺は佳代が出て行った後、一杯だけ酒を飲み酒場を後にした。
まだ冷たい風が体を貫く。
けど今の俺にはそんなことはどうだっていい。
問題は…
桜だ。
佳代の目は本気だった。
桜にもしものことがあったら…
そう考えると怖くて仕方がなかった。
こうなってしまった以上、俺が全力で桜を守るしかない。
俺なんかどうなってもいい。
ただ桜さえ無事なら。
俺はそう本気で思いながら冷えた体を擦り、城までの道のりを歩いた。