桜空2
「どうしたの?何かあったの?」
慎が急いでるなんて珍しいなと思った。
だっていつも落ち着いているし、焦りを見せるような行動をしたことがないから。剣術に関しても。
「いえ…大変申し上げにくいのですが…」
「何?」
わたしはキョトンとしながら慎を見た。
「実は……水野様が…」
「空がどうかしたの?」
正直、空の名前が出てきたからびっくりしたけど…
ここまで聞いちゃったらもう引き下がれないしね。
「水野様が…稽古をすっぽかされまして…」
「空が稽古を!?」
「はい」
慎は気まずそうにあたしを見た。
嘘でしょ…!?
あんなに稽古に対して真面目な空が稽古をすっぽかすなんて!!
「それで……」
そこまで言って慎は言うのを躊躇っている様子だ。
「何!?お願い、教えて!!慎!!」
あたしは慎の肩を掴んだ。
嫌なことだったとしても…
あたしは空を信じたいから。