Memory...
「7時…?」
「ほら荷物持って!帰るぞ」
「ぇっ!?」
ナオはあたしの手を引いて廊下を歩いていく。


ザァァ…

裏口に近づくに連れて、雨音が聞こえてきた。

「ゃべ…俺が来る時は降ってなかったのに」
「あたし傘持ってない…」「とりあえず…屋根がある所まで行くか」
靴を履いて外に出ると、肌にひんやりとした空気を感じた。


「きゃっ」
――と、段差に足が引っ掛かり、バランスを崩した。

「おいっ」
「ゴメン…」
はっと顔をあげると、10センチもない距離にナオの顔があった。


ナオの息が顔にかかる度に鼓動が増す。

あたしおかしいかも。
…変な事考えてる。


顔を伏せて、ナオから離れた。

だけど胸の音はおさまらない。
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