7つ上の翔太先生。
「さようなら…」


と私と先生が声を揃えて塾を後にした。



今日も先生は一緒に帰ってくれた。



ただ……一緒に帰るときだけでも、



私は先生の特別でいたい。


それだけじゃ駄目なの??



…ただ他愛のない話をして…




笑ったり、頷いたり、意外な先生の話とか、




私はこの空間が大好きなの。




……どんなことをしても先生の特別にはなれないかな?




「じゃあ、バス?だよね?」


と私が乗るバスを指差した。


「あっ、はい。バスです…」


「気をつけてね。お疲れ様。」



落ち着いたトーンで私に言った。


「お疲れ様です。」



先生は…最近、バス停まで送ってくれる。



先生が誰よりも早く帰りたいこと知ってるよ。





……でも、何気ないその気遣いが私にとってどんなに嬉しいか。





先生は知らない。











< 202 / 273 >

この作品をシェア

pagetop