【短】ずっと
海は教室の奥へと進み、
流し台の縁の所に座り、私の手を離した。
そして
「結果、見たか?
俺、今まぢで言葉出ねーわ。
勝つ気満々だったし。まさか同点って。」
海は少し茶色の髪をかきあげながら言った。
私は言葉に困った。
何と言って言いのか。
どこから説明しようか。
本当に信じてくれるのか。
でも、その時に私の頭の中に浮かんだのは実践だった。
実際に目で見てもらったものを信じてもらおうと。
そう思って言った。
「海、実は聞いて欲しいことがある…ううん、違う。
見て欲しいの。」
私は、空き教室に置いてあった
国語の教科書の埃をはらって海に渡した。