俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
「杏子……顔、ヘン」
「うっさいわ」
思わずにやけてしまった頬を下ろし、じろりと睨む。
本気で引いた顔しなくたっていいじゃないのよ。
「早くお昼になんないかな~」
「今来たばっかじゃない…」
もう今のことを忘れ、うっとり夢見心地の悠由に力なく突っ込んだ。
なんていうかねえ。
ほんとに。
「バカップルだよねもう」
「先輩は馬鹿じゃないもん」
先輩は、って…。
自分は馬鹿だと?
ていうかそういうことじゃないんだけど……ハア。
篠原先輩絡みでこの子相手に会話するのは、なんか疲れる。
でも……いいよねこういうのも。
あたしも彼氏ほしくなったかも。
……いやでもあたしには悠由がいるしーぃ…。
まだいいかなー。
「先輩に買ってもらったあ~❤」という、ドーナツのキーホルダーをつつく悠由を見ながら思った。