俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
彼氏候補!?
――悠由サイド――
「せんぱ~いっ」
屋上へ駆け込み、壁に寄りかかって立っていた先輩に抱きついた。
あったかくて優しいこの胸の中が大好き。
「ふふふ……」
先輩は黙って抱きしめ返して、頭をぽんぽんしてくれる。
「…飯、食うか?」
「はい!」
ぴょこっと顔だけ上げてそう返事をし、先輩の背中に回した手に持ったままだったお弁当を差し出した。
「どーぞ」
「ん」
この人は……口ではあまり喋らない。
でも代わりに、ちゃんと態度で教えてくれる。
例えば今のキスは……『サンキュー』って言ったんだ、とか。
ちゃんと分かるんだ。
「今日のたこさん入りですよたこさん」
「たこ?」
首を傾げてぱかっとお弁当箱の蓋を開く。
「……ああ」
中身を見て、なるほどという顔をした。