俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
波乱の元凶、過ぎず
――それから一時間弱が経った。
ぼーっとして先輩の胸に頭を預けていたあたしは、チャイムの音にびっくりして体をびくんと跳ねさせた。
「ふっ……」
それを見て、当然、息を漏らすように笑う先輩。
「……べ」
くりっと振り返って舌を出してみた。
せめてもの反抗だ。
「んぅ!?」
その無駄な反抗のせいで……出した舌を、咥えるようにキスをされた。
あまりの驚きでもう、死ぬかと思いました…。
いまほんと、冗談抜きで。
「んなっ……ななな、なにっ、にっ…」
「あほっぽ」
あほっぽいって!!
あなたのせい! 確実にあなたのせい!
ものすごく冷めた目であたしをじろじろ見る先輩に、ぜひとも言ってやりたかった。
そんな度胸はないので、もごもごと口の中にとどめておくしかないけれど…。
「……先輩のばか」
それでも、聞こえないように呟くぐらいはしてみた。