俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
嘘と真実
帰り、先輩は授業にでたおかげで先生に呼び出されたらしく、たまたま部活のない杏子と帰ることになる。
「今日も『先帰れ』ってそっけないメールが来たの?」
「ううん。お昼に『逃げられない状況だから』って言われたよ」
「逃げられないって…なにそれ」
うん、そこはあたしも気になるよ。
なんかね…色々。
相当めんどくさそうな顔してたからなー…本当に逃げられないんだろうな。
てかそれ以前に、逃げるってどうよ。
「あ、悠由! ……ちゃん」
「翔くん?」
教室を出ようとしたときに、翔くんの声に呼び止められる。
『悠由』と言った瞬間に、杏子がものすごい……それはもう、ものすごい、般若のような顔で睨んだために、慌てて『ちゃん』をつけたようだけど。
「な、なんだよ。ガキの頃と違うんだから、いいだろ?」
「いいわけないでしょ」
つっけんどんに言い放つ杏子。
なんか……怖い、かも。
「あ、あの…なに? 翔くん」
「あー……あ、うん…。や、やっぱいいや!」
「えっ?」
「俺今にも噛みつかれそうだし」
…ら…。
き、杏子ってば…。