俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
切なる想い
「悠由ー……さん」
月曜日、顔を合わせるなり声をかけてきた翔くんはまた、杏子の睨みに縮こまる。
「翔くん」
少し、戸惑った。
縮こまる翔くんを見ていると、昔の彼を思い出す。
「和泉さ、過保護じゃねえの?」
「アンタに対して警戒するのは当然よ」
ふんっと鼻息荒く腕を組む杏子。
いがみ合う二人をなだめてるあたしって…。
「…俺がどんな思いで―…」
聞こえないくらいに小さく、でも、たしかに何か呟いた。
「なあに?」
聞き返すと、慌てたように両手を振り「いや! なんでも」と笑ってみせた。
「……?」
微かに首を傾げると、早々に椅子に座った。
「……今日も行くわけ? あいつのとこ…」
続いて隣に座った翔くんが、ぼそっと呟くように問う。
「あいつ? ……あ…あ、うん…」
うん、と言ってしまってから、しまったと思った。
言わないほうが……よかったかな?
でも、どうせお昼になれば分かることだし…。