俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
いつの間にか屋上の扉の前まで着いていた。
扉が開いていたせいで、入ってこないあたしを見ていて不思議に思ったらしく、先輩が目の前まで来ていた。
「またどっか行ってたな」
さらりとそう片付けると、ひょいっとあたしの胸に抱えていたお弁当を取り上げると、さっさともといた場所へ戻ってしまった。
…やっぱりそうなのねっ先輩!
心持ち距離を置き、隣に腰掛ける。
ちらちらと時々視線を送りながら、膝にお弁当を抱えてちまちま食べた。
「……なに?」
「ふにゃっ?」
急に声をかけられ、驚いて変な声を出してしまう。
トマトを咥えたまま隣を振り返る。
「ふっ……変な顔……くくっ…」
んなっ、なんでこの人いっつもそんなに笑うの!
笑ってくれるようになったのは嬉しいけど、あたしのことそんなに笑わなくたっていいじゃなあいっ。
咥えていたミニトマトを口の中に押し込もうとした左手を、パシッと掴まれた。
「はみっ」
…危うくトマト落ちるとこだった!!
もごもごと落ちかけたそれを再び押し込もうとすると。
「…………」
あまりのことに、ただ黙っているしかなかった。