俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
未だにぽかんと口を開けているあたしとは裏腹に、もごもごと口を動かす先輩。
その口に含まれているのは、ついさっきまであたしが咥えていたミニトマト。
あろうことか、口移しのようにぱくっとあたしから取ってしまったのだ。
「……」
驚くことさえままならない状態のあたしに、自分の分のトマトを押し込んでくる。
「むぐっ」
「そんなに好きだったんならやるよ」
はあ……。どうも…。
…あ、甘くておいしい。
…………いや違くない?
「んなななんてことしてくれるんですか!!」
「だから返しただろ。しかももう一つあるし」
あ、ほんとだ。
二個ずつ入れたんだよねーそういえば。
……ってだから違うでしょ!
ぶっちゃけトマトどうでもいいし!
「~~っも、もういいです!」
ぷくっと頬を膨らませて、そっぽを向いて続きを食べた。
たしかにいじけてしまったわけだが、それだけじゃない。
なにをされたか認識した瞬間に熱くなった顔を隠すために。