俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
あれも愛、これも愛
気が付いたときには、着いた場所は家ではなく先輩のマンションだった。
まだ帰ってないだろうし、いつ帰ってくるか分からないのに。
先輩の部屋の扉の隣に立ち、ぽたぽたと落ちる涙を拭うこともせずただ待った。
「…!? 悠由…!?」
数十分後、さすがに涙も止まった頃、待ち望んだ人が呼ぶ声がした。
「先輩!」
鞄も投げ出し兼ねない勢いで飛びついた。
驚きながらも受け止めてくれる先輩。
「お前…いつから?」
先輩の問いにも何も答えられない。
顔を見た途端に、止まったはずの涙が再び溢れかえり、声が出なかった。
「とりあえず中入んぞ」
促されるままに、中へ上がらせてもらった。
「うあ~~~んっせんぱいいぃ~……」
玄関に入るなり、靴も脱がずに再び抱きついた。
「よしよし…ほら、靴脱げ」
「ふぇ~……」
ひっくひっくと嗚咽をあげながら、足をもぞもぞして靴を脱ぎ、ずるずる引きずられるようにリビングへ入った。
「どうした…なんかあったのか?」
子どもをあやすように、ぽんぽん背中を撫でながら言う。
あたしは、ひたすらぶんぶん首を横に振るだけだった。