俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
大切のカタチ
数時間後、こっそり家に帰って財布を手に取りこっそり抜け出したあたし。
なんとなくばつが悪くて…。
幸い、那智兄は不貞寝をしているらしかった。
「兄貴は?」
先輩の元へ行くと、やっぱり気になっていたのかそう聞いてきた。
「ママが『不貞寝してるわよ』って言ってました」
「不貞寝って…」
先輩……。いっそ笑ってやってください…。
すたこら前を歩く先輩の右手の指先をきゅっと握り締めた。
その十分後には、もう学校が見えてくる。
ああ…名残惜しや。
一晩中一緒にいたくせに名残惜しい。
「じゃあお先に」
内心ため息をつきながら、握っていた手を離した。
「悠由」
「はぁい?」
離したはずの手を再び掴まれ、きょとんとして振り返る。
「……」
「? …どしたの先輩」
「いや…なんでもない」
「じゃあな」と軽く唇に触れ、先輩は先に行った。