俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
「…あれ?」
十分後、教室に着いたあたしは思わず声をあげた。
いつもならとっくに来ていて…。
隣に座って…。
笑いながら「ギリ~」と言ってくる翔くんが。
まだ来てないみたいだ。
…どうしたのかな?
心の隅でそう思い、腰を下ろした。
「……ういーっす…」
その弱冠数分後に、限りなく元気のない翔くんの声が入ってきた。
「し、翔くん?」
びっくりして目を見開く。
「いやーなんかさ。朝起きたら頭いてーんだよね」
あたまいてーって…。
顔赤くない?
「だ、大丈夫!?」
「や、大したことはないんだけどさ」
いやいやいや。
大したこと大有りだよ! 調子悪いんじゃない!
本当に気付いてないのか強がってるのか…。
「だめだよ。保健室行こう? てか休もうよこういうときは…」
「らいじょぶらいじょぶ」
酔っ払いみたくなってるし。
「だめったらだめ! 行くよ!」
半ば強引に、でもできるだけ静かに翔くんを立たせた。