俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
第七話 決意・別離への不安
充実の夏休み
「ばいばい先輩」
「ん」
あっという間に家の前まで着き、いつものように額に軽くキスを受ける。
もう一度手を振り、門の中へ入った。
「ってうわあ!」
玄関の取っ手に手をかけようとした途端ガチャッと扉が開き、驚いて声をあげてしまう。
「あ…那智兄…」
せ、先輩は!?
ももももう帰ったよね帰ったよね!?
「なんだ。早かったな」
「あ、うん…。まあ…。な、那智兄どっか行くの?」
念のためほんの少しでも引きとめようと、話題を振ってみる。
「ああ。ちょっとな」
「そっか…」
……って続かんわ!!
「んじゃーな」
「あ…」
慌てて手を伸ばすけれど、それは宙を切るばかり。
でも視線の先に先輩がいないのを確かめ、ほっと胸を撫で下ろした。
いくらママに丸め込まれたとはいえ…。
なんか怖いからね。
ずっと前に言ってた“アレ”…。
今年の春あたりにも言ってたんだ。
『悠由に男ができたら? …そいつコロす』