俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
口を尖らせて、心の中で目一杯那智兄に文句を言った。
那智兄のせいにでもしてなきゃやってらんない!
「…悠由あなた……なにかあったの?」
「え?」
さすがは母というのだろうか。
あたしの様子ですぐに察したようだった。
「……」
一瞬迷ったけれど、ママなら…と思う。
だってママも、今ある意味遠距離。
それもずっと遠い、海の向こう。
「……先輩がね」
「先輩って…彼氏の?」
「うん…。先輩が、Y大受けるんだって」
「Y大……? あの?」
勘のいい母は、それですべて理解したようだった。
「そっか…。寂しくなっちゃうわね」
「うん…それに先輩、面倒だからってご飯もまともに食べないんだよ。心配だよ…」
いつかぶっ倒れるんじゃないかしら。
「……でもほら、受かると限らないし! 落ちるかもしんないじゃない。…あ、この際落ちろーって呪いでもかけてみる?」
恐ろしいんですけど!?
あらゆる意味で恐ろしいんですけどこの人!?
それはそれで困るでしょ!
「ていうか…先輩すっごく頭いいしかっこいいし、やらないだけで運動だってできるし、かっこいいし…。絶対受かるよ」
「かっこいいのはこの場合関係ないんじゃないかしらね」