俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
「…帰りは…」
「いつもンとこ」
ほっ。
もしまた教室に来たりとかしたらどうしようかと思ったよ。
みんな見てないフリをするんだけど、ひしひしと感じる視線。
その気まずい中で、「じ、じゃあ…」と別れ、縮こまるようにして教室まで小走りに駆けた。
「はよー悠由。おっつかれ~」
「……」
翔くん…。
あなたをこれほどまでに憎らしいと思ったのはなぜか今が初めてですよ…。
「翔くん、キライ…」
「え"っ。ごごごごめんごめん!」
慌てて手を合わせる姿がなんだか可愛らしく見えた。
…こうして、初日早々気疲れしつつも新学期は始まった。
まだ蒸し暑い、九月の一日。
早く涼しくならないかなと思うと同時、もう少し……もう少し、暑苦しい日々が続いてもいいな、なんて…。
そうすれば、もうちょっと長く…先輩と一緒にいられる。
先輩を応援しようって決めたのに、まだそんなことをちらりと思っていた。