俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
いつものところの一歩手前で、一年生と思われる女の子が顔を真っ赤にして立っていた。
あたしに気付かずまくしたてるように言うと、なんの返事も待たずに飛び出して行ってしまった。
「……」
ぽかんとして立ちすくむあたし。
ひゅうぅ~~、と乾いた風だけが目の前を過ぎていった。
「…! いたのかよ…。びびんだろ、さっさと来い」
「へっ…」
たぶん一分や二分はそのまま立ちすくんでいただろう。
ふと顔を出した先輩が、あたしに気付いて驚いた声を上げた。
「なにやってんだ? つかいつからいた」
「ええーと。『彼女がいるのは知ってるんです』ってとこから」
「……」
…え、なにその顔。
「先輩?」
「…言っとっけど、いきなり現れたかと思うと喋るだけ喋って消えてっただけだぞ」
「うん。見てたから知ってる」
それがどうかしたのかな?
「知ってるってお前…」
「?」
「……馬鹿でよかった…」
「え? なんか言いました?」
「別に」