俺様狼と子猫少女の秘密の時間②

危ない危ない。

杏子の呆れた声に現実に引き戻される。


『電話越しだとほんとに死んだかと思うでしょー?』


いや……思わないでしょ普通…。


『まー、じゃあ由那ちゃんの世話で忙しいのね』


「そんなこともないけど…」


『遊び行こうかと思ったけど、美紅にしとくわ』


「ごめんね?」


申し訳なくなって謝ると、「いいのよ」と優しく返してくれた。

電話を切ってリビングへ降りると、那智兄がテレビを見ながら参考書を開いていた。


「那智兄」


「んー?」


って…開いてるだけじゃんほんとに。

まったく本見てないし。


「なにやってんのっ?」


「べんきょー」


…どこが。

嘘もいいとこだよ。


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