黒い大きな犬
「そして、ある意味では俺は君に救われたんだ。君がうまく逃げることができたあの日以来、俺はもう人間の子供を食べることをやめた。だけど…魔女に逆らうことは出来なかった。それは、どうしても逆らうことの出来ないシステムなんだ。雨が空から地面に落ちるように。だから俺は、それからも人間の子供をさらい続けた。君の大事な人だってその中にいる」
僕は目を閉じた。そして深く深く深呼吸をした。「だけど、君は食べなかった」

< 201 / 205 >

この作品をシェア

pagetop