黒い大きな犬
「そう。俺はもう食べたりなんかしなかった。そして、とうとう俺は魔女からも逃げ出すことが出来た。雨が、地面から空へと上がったんだ。もちろん魔女は、俺をひどく痛め付けた。だけど、そんな意志を持てたのは紛れも無く君が、ユウタがいたからだ」
彼は少しずつ、話すスピードが落ちてきた。死は彼を確実に捉え、いつでも踏み込む準備をしていた。

< 202 / 205 >

この作品をシェア

pagetop