─侵食─悪魔のような男

┼距離をつめる悪魔┼


「マスター最近なんだかあたし誰かにつけられてるみたいなんです…気味悪くて」



バイト先の喫茶店のマスターに、あたしは相談していた。



「ストーカー…かもな…ユウリちゃんは綺麗だからなぁわからんでもないが…はっきり見たのかい?つけられてるの」



「はっきりって訳ではないんですけど、いつも後ろから足音がして、振り返ると止まるんです」



「顔は解らないんだね?」



「はい…でもあたしが部屋に帰ると必ず携帯がなるんです…最初は気にせず出たんですけど、"お帰り"って男の人の声で言われて…」



美しい顔を歪め今にも泣き出しそうなユウリに、マスターが思わず手を差し伸べた時だった。



「ユウリちゃん…俺が送ってあげようか?」



心配そうに近づいてきた劉兒がユウリに問いかける。
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