─侵食─悪魔のような男
┼逃げる者と追う者┼
「おはよう御座います劉兒さん」
「おはよう」
不機嫌な表情の劉兒に、一也は嫌な予感がしていた。
「あのコトだけど…そろそろ進めくれる?」
「…解りました…それじゃ近々…」
"くくっ"という笑い声だけを残し劉兒は去っていった。
「はぁーっ」
溜め息を一つ吐き出し、一也は学校へ向かって歩き出した。
自分の意志とは関係なく、ただ動かされるだけの駒にすぎない。
一也は、劉兒の去っていった後を睨みつけるしか出来ない自分に、苛立ちを覚えていた。