─侵食─悪魔のような男
今朝の劉兒はいつになく上機嫌だった。
"今日は何かある…"とユウリは用心していた。
何が起こってもいいように…
「ユウリ…じゃあな」
素っ気ない言い方で劉兒はユウリを送り出した。
「…行ってきます」
ユウリは不安な表情で劉兒に手を振る。
無言で走り去る高級車…ここ最近はユウリが立ち去る前に行ってしまう。
背を向け歩き出したユウリ。
「もう直ぐね…」その顔にはうっすらと笑みが浮かんでいた。