─侵食─悪魔のような男
気を抜けば泣いてしまいそうだった。
泣いちゃだめ!
ユウリはぐっと我慢してニコニコと笑っていた。
何だか何時ものユウリと違うような気がしていた真理子だが、気のせいかと声を掛けるのを止めた。
お弁当を作り上げ、朝食の準備が出来た時「…おはよう」と、正也がキッチンに顔を出した。
「…あっ…おはようございます…」
昨夜の正也を思い出し、ユウリはほんのり頬を赤く染める。
正也もまた自分のしてしまった事の恥ずかしさからか、照れ笑いしてぽりぽりと頭を掻く。
「何なのあんた達?変な子達ねー」