─侵食─悪魔のような男

最上階に直通のエレベーターに、先に乗り込んだ劉兒の母親の後を追い後に続く。



甘ったるい香水の香りに酔いそうになり、軽い目眩がしていた。



そして誰も一言も発しないまま、エレベーターは一階へと到着する。



マンションの前に堂々と止まっているリムジン。



運転手がさっとドアを開け、劉兒の母親は吸い込まれるように中へと消えていった。



「お嬢様もこちらへ」



運転手に促され、ユウリも後に続いてリムジンに乗り込んだ。



劉兒の母親と向かい合わせに座ると、ユウリに緊張がはしった。
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